レジスタントスターチ

「レジスタント
スターチ総まとめ」
含有量ランキング
TOP10を発表!

管理栄養士監修

これを読めばレジスタントスターチの
全てがわかる。
簡単に実践できる効果的な食べ方や
注意点も解説

レジスタントスターチとは

ダイエットや腸内環境を整える働きで注目されているレジスタントスターチとは何か。その機能を説明していきます。

レジスタントスターチの特徴、
食物繊維との違いは?

レジスタントスターチとは、消化吸収されにくいデンプンのことです。
デンプンは水と共に加熱すると膨張し、粘度と透明度が上がる特徴があります。
米や小麦粉、いも類などが身近なデンプン系食品として食べられています。
従来、デンプンは小腸で完全に消化されると考えられてきました。

しかし近年、一部は消化されにくく大腸まで運ばれることが明らかとなり、
この小腸で消化されにくいデンプンを「レジスタントスターチ」と名付けました。

一方、食物繊維も同様に消化吸収されませんが、
植物や海藻、動物の細胞成分に由来するもので、非でんぷん性となります。

生デンプンを加熱するとレジスタントスターチは減少してしまいます。
しかし時間が経つとお米が硬くなるように、加熱前と近い構造になる特性があります。
この現象は0〜5℃付近の温度、水分30〜60%の状態が最も起きやすいと言われています。

レジスタントスターチに期待できる
6つの機能

レジスタントスターチは消化吸収されにくいという生理作用があることから、
食物繊維と同様の効果があるだけでなく、特有の機能を持っています。

01
糖の吸収を穏やかにする
レジスタントスターチを含む食品には、糖の移動を妨げ、吸収を遅らせる効果があります。その結果、食後の急激な血糖値上昇によるインスリンの過剰分泌を抑えられるため、糖の吸収を穏やかにすることができます。
02
低GI食としてダイエットや
糖質のコントロールに役立つ
レジスタントスターチを多く含む食品は、血糖値の上昇が緩やかになることからGI値(※1)が低くなります。そのため長期摂取することで、ダイエットや糖質のコントロールに役立ちます。

(※1)GI値:グリセミック・インデックスの略で、血糖値上昇の反応を表す指標。数値が高いほどインスリンの分泌量も増える。
03
自然な感じのお通じをサポート
レジスタントスターチは食物繊維と同様の作用があります。そのため、毎日の健康維持に役立ったり、食物からの恩恵を受けやすくなります。
04
プレバイオティクス効果
レジスタントスターチは善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える成分「プレバイオティクス」の効果もあることから注目されています。
05
短鎖脂肪酸が脂質代謝を改善
ラットを使った実験では、レジスタントスターチが善玉菌によって発酵して生成される「短鎖脂肪酸」が代謝に影響を与え、コレステロールと脂肪の合成を抑制することが報告されています[1]。
06
食欲を24時間抑える
ラットを使った実験では、短鎖脂肪酸は抗肥満ホルモンに働きかけて食欲を抑制させ、食事摂食量を減らすことが報告されています。しかもそれが24時間も持続することが示されています[2]。

現代人が不足している
レジスタントスターチを
多く含む食品の
特徴をつかもう

低糖質ダイエットがブームとなり、デンプンを多く含む食品は避けられる傾向にあります。
そのためレジスタントスターチ摂取量が十分でない人もいるのが現状です。
しかしデンプン系食品ばかりを食べていてはカロリーオーバーしてしまうため、特徴を理解する事が大切です。

レジスタントスターチが多い
食品の特徴リスト

レジスタントスターチは、加熱後に冷却する過程の0〜5℃のときに増えることは先に説明したとおりです。
加熱してから冷やす食品としては「冷やし焼き芋」や「冷や飯」が思い浮かびますが、それだけではありません。
性質によりRS-1からRS-4まで4つに分類されるレジスタントスターチを、以下に示します。[3]を元に作成

  • RS-1全粒粉、玄米、雑穀、麦、豆

    細胞壁は消化酵素の作用を受けない

  • RS-2グリーンバナナ(青バナナ)、生じゃがいも、片栗粉

    消化されにくい緻密な結晶構造をしている

  • RS-3冷めたご飯、コーンフレーク、マッシュポテト

    再結晶化のため消化酵素の作用を受けない

  • RS-4糊料、乳化剤、増粘安定剤などの加工デンプン

    架橋形成で消化酵素の作用を受けにくい

性質により差はありますが、本質的な機能に大きな違いはありません。
それではこれらの特徴をもった食品をランキングにして比較してみましょう。

レジスタントスターチ含有量が
多い食べ物ランキングTOP10

現実的な購入手段や日常使いが可能な食品だけを選び「ランキング」にしました。[4]を元に作成

※総でんぷんに対するレジスタントスターチの割合
※調理条件の違いや調味料の影響があると比較できないため全て加熱前のデータ
※片栗粉や小麦粉などの粉末は除外
※山芋、長芋はでんぷん分解酵素が含まれており、すりおろすとでんぷんの分解が促進されてしまう

一般的にレジスタントスターチが多いとされている、とうもろこし(16.0g)、じゃがいも(12.7g)、黄色いバナナ(4.85g) はランク外という意外な結果になりました。

また「調理済み(番外編)」として、炊いた玄米(11.8g)、冷めたご飯(※2) (9.3g)、じゃがいもを蒸して冷却(5.8g)、さつまいもを蒸して冷却(3.3g)、コーンフレーク(3.0g)がこのような結果になっています[4][5]。

(※2)冷めたご飯:炊いたご飯を放置したもの。米は乾燥し白濁した状態。再加熱すると含有量が減ってしまうので注意。

それではランキングをふまえて第1位のグリーンバナナ(青バナナ)について解説します。

レジスタントスターチ含有量が
一番多かったのは
「グリーンバナナ(青バナナ)」!

ランキングに入っているどの食品もレジスタントスターチの優れた供給源になりますが、グリーンバナナ(青バナナ)が最も多い結果となりました。
もちろん黄色いバナナも豊富だと言えますが、グリーンバナナ(青バナナ)はその約8倍になります。これは成熟するにつれてデンプンは糖に変わってしまい、レジスタントスターチが減少してしまうからです。

またグリーンバナナ(青バナナ)にはビタミンやミネラル、アミノ酸、食物繊維などの有効成分がバランスよく含まれており、食材としても優秀です。
さらに抗酸化物質(※3)の優れた供給源としても注目されています。

(※3) 抗酸化物質:細胞を傷つけて老化や病気の原因にもなる活性酸素の働きを防ぐ作用をもつ物質

黄色いバナナしか食べたことがない日本人にとっては想像し難いかもしれませんが、実は世界ではグリーンバナナ(青バナナ)を野菜として日常的に食べている国はたくさんあります。

グリーンバナナ(青バナナ)について、さらに詳しく知りたい方はこちら

レジスタントスターチの
「効果的な摂り方」と「注意点」とは

レジスタントスターチやグリーンバナナ(青バナナ)はサプリとしても販売されていますが、
食材で摂取することを推奨します。サプリのパッケージに記載されている目安量を超えて摂取すると
過剰摂取につながり、かえって健康を損なう恐れがあるからです。
また他の食材と同時に摂取することで発揮される効果もあります。

どんな有効成分にも言えることですが、サプリに頼りすぎたり同じ食品だけを食べたりしていると、
栄養の偏りを招き、食生活にも負担がかかってしまいます。

このような極端な方法では、体調不良やリバウンドなどを引き起こしてしまいがちです。
そうならないよう、例えば1食のうちの野菜1つを置き換えて食べるなど
適度な摂取量で自分にとって簡単な方法で長く続けることが大切です。

まとめ

レジスタントスターチは食物繊維以上に体に影響を与え、健康をもたらす重要な役割を果たします。
知名度は食物繊維にはまだ及びませんが、優れた成分であることから広く浸透する日は近いでしょう。

松田美千子

監修:松田 美千子(まつだ みちこ)

■管理栄養士 / 食品表示診断士(中級)/ Webライター / グルメ取材ライター

■プロフィール
トライアスロン全国1位(中学2・3年の2年連続)の経歴からスポーツ栄養学に関心をもつ。
現在は大学の研究所に勤める傍ら、アカデミックな観点でライターとしても活躍。
美容やダイエット、トレーニングに関する執筆を得意とする。
「読者の悩み」「疑問の解決」「QOLの向上」につながる情報を発信できることがやりがい。

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